研究内容

メゾスコピック系とは

画像近年、極小の電子回路を舞台として、量子力学的な効果を人間の手で制御しようという、人工量子系の研究が活発に行われています。このような人工量子系は、"メゾスコピック系"と呼ばれることもあります。メゾスコピック系(mesoscopic系)とは、バルク物質のように巨視的なサイズの物質でもなければ、逆に原子レベルのように小さなスケールでもなく、その中間(meso-)の大きさの系という意味です。近年のナノテクノロジーの発展によって、このような系で普遍的に発現する量子現象を扱う研究が盛んになってきました。
*右図は、人工量子系の代表例である電子波干渉計で観測された電子干渉パターン。


量子多体状態の制御

人工量子系の多くは、半導体や金属薄膜を微細加工して作られる数nm〜数ミクロン程度の小さいサイズのものです。しかし、それらはいくつかの外部パラメータによって制御できるようにデザインされています。画像このような系を用いる研究の醍醐味は、電子の電荷・スピン・コヒーレンス・電子間相互作用など、人間の手で量子力学的な効果を様々に制御できる点にあります。また、実験結果と理論との精密な比較が可能であることも、この分野の大きな特色です。定量的な研究を行うことによって、量子効果を利用した超高感度測定が可能となりますし、逆に、精密測定によって、これまでに想像すらできなかったような新現象が発見される可能性もあります。
*左図は、微細加工の例。

最近の主要な成果や現在進行中の主なテーマは以下のとおりです。
●量子多体制御
・量子系における「ゆらぎの定理」:量子系における「ゆらぎの定理」の検証実験
・量子多体状態による電子散乱:近藤状態における電子散乱過程の観測
・スピン流のゆらぎの観測:スピンショット雑音を初めて検出
・量子測定とフィードバック制御
●物性探索
・半導体素子における電子スピン・核スピン依存伝導
・トンネル磁気抵抗素子やトポロジカル絶縁体などにおける量子輸送
・非平衡性によって誘起される新規物性:シリコンにおける非平衡磁気抵抗効果
●新規測定手法の開発(特に高精度実時間量子輸送測定)

大阪大学 大学院理学研究科 物理学専攻 小林量子多体制御グループ